テニス肘
テニス肘(てにすひじ)は、テニスなどのラケットを使用するスポーツをする人にみられる上腕骨外側上顆炎または上腕骨内側上顆炎のことを指します。
上腕骨外側上顆炎はバックハンドストロークで発生するため、バックハンドテニス肘と言います。
これに対し、上腕骨内側上顆炎はフォアハンドストロークで発生するのでフォアハンドテニス肘と言います。
いずれも使いすぎ障害で、初心者の方や筋力の弱い中年の女性(40~50歳)の方に多い症状です。
ボールを正確に捉えられず手首の力で対抗すると、手関節の伸筋やその付着部位に負担がかかります。
その結果、筋の変性や骨膜の炎症などが発生するのです。
症状としては、手関節を伸展・背屈した時、または伸筋が緊張する時に、肘や前腕に痛みが出ます。
腱鞘炎
筋肉は徐々に細くなり、ヒモ状の線維となって骨に付着しそのヒモ状の線維の部分を腱と呼びます。
筋肉が縮むと腱を通じて牽引し、骨に伝わり関節を動かします。
腱は腱鞘(けんしょう)というトンネル状のものに包まれ、指ではこの腱鞘が関節を動かす際に腱を浮かないように固定しすべりをよくする働きがあります。
指の曲げ伸ばしをすると腱はこの腱鞘の中をすべっていき、その時に必ず摩擦が生じ過度に繰り返されると腱または腱鞘が腫れ、肥厚することにより症状を出します。
指の腱鞘炎には大きく分けて2つあります。
①ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
②ばね指(弾発指)
①ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
ドケルバン病は手の甲側の親指の付け根にある腱に起きる腱鞘炎です。
親指を伸ばすための短母指伸筋と、手を広げる際に親指を外側に動かすために働く長母指外転筋が原因となります。
この2つの腱は同じ1つのトンネルを通るため擦れ合って、より摩擦が起きやすくパソコンのキーボード入力など親指の曲げ伸ばしが多いと症状を出し、親指を動かしたり、力を入れた時の痛みの他にも腫れなどを出します。
②ばね指(弾発指)
ばね指は手のひら側にある指を曲げるための屈筋腱に起こります。
これは腱自体が腫れ、指を曲げた際に腱鞘の入り口に引っかかってしまい一度止まり、指を伸ばす(腱が通過する)際に、急に「カクン」っと伸びます。これを弾発現象と呼びます。
弾発現象は朝に出やすく、寝起きに指が曲がったまま固まってしまい、強制的に伸ばさないと伸びなくなってしまいます。
他に関節部に硬い索状物が触れられ、触ると痛みを出します。
突き指
突き指は発生率が高く、軽いものと判断されがちですが、実際は捻挫だけではなく靭帯や腱の断裂、ひどいものでは脱臼や骨折を起こします。
主に指先に強く物が当たることにより靭帯や腱、骨に外力が加わります。
球技に多くみられ、指先にボールが当たり指が伸ばされた時や、ラグビーなどコンタクトスポーツではユニフォームなど衣服に指が巻き込まれ、捻りが加わります。
それにより靭帯や腱、骨が牽引され断裂や付着部の骨が剥れる裂離骨折を引き起こすことがあります。
突き指は「引っ張ると治る」とされていますが、実際はとても危険な行為となり、引っ張ることにより靭帯や腱の部分断裂などを悪化させる可能性が高くなります。
そうなると関節の変形を残してしまったり、靭帯が緩くなり再受傷をしやすくなってしまいます。
裂離骨折や伸筋腱の断裂を伴うマレットフィンガー(槌指・つちゆび)では放置してしまい、治癒が悪くなり、第1関節が曲がったまま伸ばせなくなることがありますので、たかが突き指とあなどらず、早期の適切な治療が大切です。
胸郭出口症候群(斜角症候群、肋鎖症候群、過外転症候群、頸肋症候群)
胸郭出口症候群とは頸椎から出た神経と血管が筋肉や骨などによって、圧迫されることにより肩や背中の鈍痛、腕や手指にだるさや鈍痛、冷えた感じ、痺れ、むくみ、脱力感などを出す疾患の総称です。
首から腕にいたるまで神経は3つのトンネルを通り抜けます。
そのトンネルを作っているのが筋肉や骨で、そのどこで圧迫を受けるのかで疾患名が変わってきます。
1つ目のトンネルは首の前から肋骨に向け走る前斜角筋と中斜角筋という筋肉の間で、首を前に倒したり、息を吸う時に使っています。
デスクワークで下を向いていることが多いと疲労が蓄積され症状を出します。
これを斜角筋症候群と呼びます。
2つ目のトンネルは鎖骨と第1肋骨の間で、なで肩の方に多くみられます。
なで肩になってしまうと方が下がってしまい、鎖骨と肋骨の間を狭くしてしまうことにより起こります。
これが肋鎖症候群です。
3つ目が小胸筋という胸の筋肉と靭帯の間になります。
腕を横に上げていく動きを外転といい、その外転をしていくと神経、血管が圧迫を受け症状を出すため過外転症候群と呼びます。
つり革につかまっていたり、窓の拭き掃除をしていると起こることがあります。
もう1つトンネルとは関係なく起こる頸肋症候群があります。
これは第7頸椎に本来存在しない肋骨状の骨が変異して起こるものです。
一般的に胸郭出口症候群は筋力や姿勢の関係で、なで肩の女性に多いという特徴があります。